デング熱

原因

デング熱はウイルスをもった蚊(ネッタイシマカやヒトスジシマカ)の刺咬によって生じる感染症です。

ネッタイシマカは都市部に生息し、多くが生活で使われている人口の容器で繁殖します。通常、ネッタイシマカが刺咬する時間帯のピークは早朝と夕暮れ前ですが、他の蚊とは異なり、日中でも刺咬します。

デング熱は熱帯、亜熱帯地域を中心に流行していますが、2014年には70年ぶりに首都圏で渡航歴のない複数名の患者発症が見られました。このことより、熱帯、亜熱帯地域だけでなく、日本を含めた様々な気候でも感染の危険性があることがわかります。

症状

2~15日(通常2~7日)の潜伏期間後、38~40℃の突然の発熱で発症し、頭痛、眼窩痛、筋肉痛、関節痛を伴います。発症後3~4日後より発疹が現れます。通常は1週間程度で回復しますが、
軽い風症状で回復することもしばしばあります。痛みと解熱にはアセトアミノフェンを使用し、アスピリンの使用は禁忌です。ヒト‐ヒト感染はしません。

予防

デング熱を予防するワクチンや薬はありません。蚊を媒介する感染症から身を守るには、まず蚊に刺されないように予防することが必要です。
デング熱を媒介するネッタイシマ蚊・ヒトスジシマ蚊は昼間にも活動しますので、屋外では常時注意が必要ですが、特に日の出後と日没前は注意が必要です。
水たまりの近くなど、蚊の多い場所や時間帯は長袖・長ズボンを着用し皮膚の露出を可能な限り避けましょう。また、虫よけスプレーやローション等の使用を推奨します。国内で販売されているものは、有効成分の濃度が低いので、ウルトラソン※1のような有効成分を多く含んだ効果の高いものを使用することをお勧めいたします。

※1 ウルトラソン(ULTRATHON)
当クリニックで取り扱っている虫除けローションです。
日本で一般的に販売されている虫除け剤はDEET(ディート)という有効成分の濃度が低いため(12%以下)、感染症発生地域に潜む危険な蚊、ダニ、刺し蝿等には効果が期待できません。
ウルトラソンは、有効成分DEETを多く含んでおり(34.34%)、効果的な防御をより長時間に渡って行うことが可能です。その効果と安全性から、米軍では1980年より正式に採用されております。

海外渡航時の注意点

デング熱の罹患率は、ここ数十年間に世界中で劇的に増加しています。現在、アフリカ、南北アメリカ大陸、東地中海、東南アジア、西太平洋のWHOによる地域の100か国以上で流行しています。アメリカ、東南アジア、西太平洋の地域では、感染による被害は最も深刻となっています。

圧倒的多数の感染例が無症状であるうえ、たくさんの患者が誤って診断されていることが予想されており、一つの推計では世界で年間3億9000万人のデング熱患者がいると見積もられています。

2019年現在、米州のいくつかの国・オーストラリア・カンボジア・中国・ラオス・マレーシア・フィリピン・シンガポール・ベトナムにおいて症例の増加が観察されています。また、アフリカ地域のコンゴ・コートジボワール・タンザニアではデング熱のアウトブレイクが報告されています。

以前は熱帯・亜熱帯地域に渡航する際に注意していた病気ですが、現在は世界中で感染する可能性があり注意が必要です。

デング熱リスクのある国

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