破傷風の追加接種としてDPTワクチンをお勧めしています。

6月に入り、日本全国で2ヶ月あまりに及ぶ緊急事態宣言が解除され、それまで自粛していた海外への出張や転勤、ご旅行やご留学の動きがようやく出てきました。
その際、皆様がご希望されることが多い破傷風の接種についてご案内いたします。
日本では子供の時の定期接種としてDPT(破傷風、百日咳、ジフテリア)ワクチンを4~5回接種(5回目はDT)していますが、そのことで破傷風は20代前半くらいまでは基礎免疫が継続しています。
但し、その後は除々に抗体が弱まってしまうので海外渡航時や国内においても土壌で怪我をするような仕事やボランティア、スポーツなどの活動をする際は破傷風の追加接種をしておくのが望ましいとされています。その際、以前は破傷風トキソイドワクチンを単体で接種していただいていましたが、近年、大人の百日咳の流行なども踏まえまして当院においては破傷風ワクチンを希望される皆様にDPTワクチンの接種を推奨しております。
もう一つの理由として破傷風トキソイドワクチンには約5Lf/dose(破傷風トキソイドの量を表す単位)程度のトキソイドが含まれており、接種後に腫れやすくなるなどの症状が出やすいのに対してDPTであれば約2.5Lf/dose程度と半量であることから、そういった症状が出にくくなるとの理由からです。
なお、海外留学や欧米地域へ新生児のお見舞いに行く前にはT-dapと言う(破傷風トキソイドの量は5Lf/doseと破傷風と同量であるが、ジフテリアの含有量は2.5Lf/doseとDPTの15Lf/doseより少ない)破傷風、百日咳、ジフテリアの3種混合ワクチンを接種することを義務付けられることもあります。当院ではGlaxo smith kline社のBoostrixをご用意しております。こちらは国内未承認となりますので未承認ワクチンの接種同意書のご記入をお願いしております。なお接種後に英文の接種証明書を希望される場合はあらかじめお申し付けください。詳しい内容につきましてはお電話かメールにてお問い合わせください。

補足
破傷風は土壌の中の破傷風菌によって怪我などから感染し、開口傷害や首の硬直、全身の痙攣や呼吸困難を経て最悪死に至る感染症。(致死率は10%から20%)

百日咳は百日咳菌によって引き起こされる急性の気道感染症で痙攣性の咳が長期にわたって(百日咳の由来)続き、合併症として肺炎や脳症をおこす。新生児や乳児がかかると重篤になりやすい。近年、成人においての流行がみられる。

参照 NIID国立感染症研究所 HP IASR vol.40(2019年1月号)
   海外渡航者のためのワクチンガイドライン2019 日本渡航医学会

ワクチンコーディネーター Ms,Naoko,B

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