蚊が媒介する感染症
海外(特に熱帯・亜熱帯地域)では『蚊が媒介する感染症』(マラリア、日本脳炎、黄熱、デング熱、西ナイル熱、チクングニア熱など)が多く存在しています。
日本では馴染みの少ない疾患も多く、多くの邦人が正しい知識や予防を施さないまま渡航し、現地で感染症に罹り帰国する例が少なくありません。
抗体を保有しない邦人が感染した場合、多くの例で重症化しております。中には高い確率で死にいたるものも存在するため、非常に危険な感染症といえるでしょう。
蚊に刺されることが感染の原因ですので、気が付かないうちに感染している事が多く、対策を持たないまま渡航した場合、感染を防ぐ有効な手段を講ずることは非常に難しいとされています。渡航前に対策を講ずることが重要です。
予防・対策
蚊が媒介する感染症の中でワクチンで予防可能なものは下記の2種のみです。
・日本脳炎
・黄熱病
広い地域で感染の危険性のある『マラリア』には、ワクチンは存在しませんが有効な予防薬が存在します。危険地帯に滞在する場合には服用することを推奨します。
その他の『蚊が媒介する感染症』には、効果的なワクチンや予防薬が存在しません。(デング熱、西ナイル熱、チクングニヤ熱など)その場合、蚊に刺されない対策を講ずる必要があります。
肌の露出を抑える
暑い地域が殆どですが、屋外では長袖長ズボンを着用し帽子もかぶることで肌の露出を抑え、蚊に刺されることを防ぐ事が有効です。
日の出後、日没前、夜間の外出はなるべく控える
蚊の種類よって活動する時間帯が異なり、感染症防護のためには時間帯を問わず注意が必要です。
中でもネッタイシマ蚊は、日中に主に活動します。日中の活動を控えることは難しいでしょうが、特に活動が活発になる日の出後、日没前の外出時には注意が必要です。
また、その他にも夕方~夜間にかけて活発に活動するハマダラ蚊などもおり、特に時間帯には外出を控え、やむを得ず外出する場合は必ず肌の露出を可能な限り抑えることが重要です。
空調設備のある宿泊施設を利用する
蚊の侵入を防ぐために昼夜問わず(主に夜間)に窓を閉め切る必要がありますので、利用する宿泊施設の空調設備の有無は必ずご確認下さい。
ボランティアで貧困地区での支援活動を行う場合など、空調設備が存在しない宿舎に滞在することが強く予想される場合は、『蚊帳』などを持参されることを強くお勧め致します。
虫よけを活用する
日本製の虫よけ製品は世界的に見てもとても優秀です。現地への持ち込みが可能な場合は携帯用の虫よけ機器(電池式など)や、屋内で使用できる虫よけ機器、蚊取線香などをご活用ください。
また外出する際は携帯用の虫よけ機器に加え、肌の露出部には虫よけ薬を塗布することが非常に効果的です。
※日本国内で販売されている一般的な虫よけ薬では有効成分DEETの含有量が少なく、効果が弱い場合がございます。効果的に予防するには、より強力虫よけ薬(※1 ウルトラソンなど)が必要です。
また、昆虫忌避効果のある衣類を活用することも効果的です。
詳しくは『Insect Shield Japan』のホームページをご覧ください。
※1 ウルトラソン(ULTRATHON)
当クリニックで取り扱っている虫除けクリームです。
日本で一般的に販売されている虫除け剤はDEET(ディート)という有効成分の濃度が低いため(12%以下)、感染症発生地域に潜む危険な蚊、ダニ、刺し蝿等には効果が期待できません。 ウルトラソンは、有効成分DEETを多く含んでおり(34.34%)、効果的な防御をより長時間に渡って行うことが可能です。その効果と安全性から、米軍では1980年より正式に採用されております。
海外渡航時の注意点
特に長期滞在の方は、現地滞在中に安心してかかることが出来る医療水準、衛生環境の高い医療機関をできるだけ早く探しておくことがとても重要です。
短期滞在の場合は、予防薬等で十分な対策が可能ですが、長期滞在の方や予防薬をお持ちでない方は、感染の疑いがある場合、速やかに医療機関を受診する必要があります。
医療機関を事前に調べておくことで、安心して生活することができます。
※ マラリア予防薬は連続で服用できる期間に限りがあります。予防薬の処方期間を超えて現地に滞在される方は、同じように現地で医療機関を探す必要があります。
蚊の種類
ハマダラ蚊
ハマダラ蚊はマラリアを媒介します。
活動時間帯は主に夕方~夜間で、その時間帯は外出を控え、やむを得ず外出する場合は必ず肌の露出を可能な限り抑えることが重要です。
ネッタイシマ蚊
ネッタイシマ蚊は、デング熱や黄熱病、チクングニア熱などを媒介します。
活動時間帯は主に日中です。特に活動が活発になる日の出後、日没前の外出時には注意が必要です。
その他の蚊
コガタアカイエ蚊は日本脳炎などを媒介します。
代表的な蚊が媒介する感染症
日本脳炎
マラリア
黄熱
西ナイル熱
デング熱
チクングニア熱
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