ポリオ(急性灰白髄炎)とワクチンの話3- 小児定期接種、移行期について
従来の経口ポリオワクチン(生ワクチン)(以下OPVとします)の定期接種は、6週間以上の間隔をあけて2回投与というものでした。それに対して不活化ワクチン(注射によるワクチン)(以下IPVとします)は初回免疫3回+追加免疫1回の計4回の接種を要します。
今後の出生児はIPVによる接種を原則とします。現時点でポリオの接種が完了していない(もしくは完了予定であったがIPVを待っていた)者は、H24.9.1をもって一斉に切り替えになります。切り替えの方式は以下を原則とします。
- 1.
OPVを2回接種している者は、ポリオに対する免疫が完成されているため新たなIPVは必要としない。 - 2.
OPVを1回のみ完了している者は、そのOPVを一回分と数えて残りをIPVで施行する。 - 3.
9月1日以前に未承認IPVを施行された者は、それを承認IPVと同等とみなし、IPVを施行する。 - 4.
上記未承認IPVなどに関連してIPVの接種スケジュールの間隔が乱れている者も、同様の回数の接種を行う。(一から接種しなおす必要はない) - 5.
いずれの方式でも最終のIPV接種は、その前のIPV接種より6ヶ月以上経過してから施行する。
またH24年11月1日からはDPTワクチンに不活化ポリオワクチンを加えた4種混合ワクチン(以下DPT+IPVとします)が定期接種に導入されます。これに伴い、該当する年齢の者はDPTとIPVを個別に接種する事の代わりにDPT+IPVによる接種を選択する事も可能となります。
IPVはソークワクチン、DPT+IPVはセービン株由来の不活化ワクチンという差異はありますが、臨床的には同等とみなして問題ありません。ワクチンを選択する際の原則としては、同じワクチンを接種しますが、状況によっては他のワクチンを選択しても何ら問題は生じません。例えば、DPT+IPVで接種していたが、次の回にワクチンが入手不可能の場合はDPT+IPDの入手を待って接種の間隔が乱れるより、DPTとIPVの同時接種で対応する方が良いと考えます。また、接種される者の負担の軽減という観点から、DPTとIPVの代わりにDPT+IPVを選択するのも問題ないと考えます。