ポリオ(急性灰白髄炎)とワクチンの話1 – ポリオとは?

ポリオ(急性灰白髄炎)は小児麻痺とも呼ばれ、エンテロウィルス属(腸内ウィルス属)のポリオウィルスにより発症するウィルス感染症です。感染経路はヒトからヒトへの直接感染です。

感染者の約95%は不顕性感染といって何も症状は発現せずに経過します。(ただし他者への感染源とはなり得ます)
残りの5%程度の人は発症します。その場合、潜伏期間は1~2週間で、発症初期の症状は発熱、頭痛、咽頭痛、倦怠感、嘔吐、下痢など、感冒もしくは急性胃腸炎の症状に類似しています。

経口的にヒトの体内に侵入したポリオウィルスは、咽頭や小腸で増殖し、リンパ節を介して血液中に入ります。その後、脊髄などの中枢神経系に達すると運動神経細胞に感染し、これを破壊します。
これによりポリオウィルスによる典型的症状である非対称性の四肢麻痺を呈します。臨床的には上記の症状発現後、数日を経て四肢の弛緩性麻痺が見られます。運動神経細胞の破壊が広範囲に渡る場合、麻痺が他の部位に生じる事もあり、横隔膜神経麻痺や脳幹部に感染が広がった場合は呼吸不全を生じて死に至るケースもあります。四肢麻痺は感染の軽減と共に改善して行きますが、20%弱の人は改善せず、生涯麻痺が残ります。

発症した人に対して有効な治療は無いため、急性期には症状に応じた対症療法を行います。終生残存する麻痺が残った場合は運動療法やリハビリなどを行う事になります。そのため、ワクチン接種などによる予防が重要になります。

わが国ではポリオワクチンは従来は経口生ワクチンを小児期に投与していましたが、2012年9月から不活化ワクチンの注射が導入され、どの医療機関でもより手軽に投与する事が可能となっています。
ポリオワクチンは小児のみならず、海外渡航などを控えている成人にも投与可能となっています。

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