狂犬病

原因

狂犬病ウイルスを持っている哺乳動物に噛まれたり、引っ掻かれることで人間に感染します。野犬に噛まれることがきっかけで感染することが多いので、狂犬病という病名は間違ってはいませんが、犬以外の動物でもアライグマやスカンクや猫の他、世界的にはコウモリが感染源の動物として挙げられています。

症状

狂犬病の潜伏期間は平均30~90日、それ以上に及ぶ例もあります。
発病すると前駆症状として風邪に似た症状やさまざまな知覚異常・筋肉痛が発生します。
前駆期に続き、興奮・躁動などを主症状として、呼吸困難・嚥下困難さらには典型的な恐水症や狂風症からなる興奮期に陥ります。
更に極度の不安感・衝動的な動作・諸感覚器の過敏症状・分泌機能亢進・筋緊張・腱反射の亢進などが現れ、最終的には脳神経や全身の筋肉麻痺を来して、嚥下性肺炎や呼吸・循環不全に陥ります。
発症した場合有効な治療・救命法はなく、死亡率はほぼ100%であり、発症後に命を取り止めた例は世界でも数例しかない怖い病気なのです。

動物から咬傷・接触を受けた時の注意点

  1.  受傷部位の十分な洗浄・消毒処置
    たとえ引っ掻き傷であっても、傷口を流水と石鹸で15分以上かけて十分に洗い、エタノールやポビドンヨードで消毒する。
  2. 速やかなワクチン接種(曝露後接種)
    できるだけ早めに(できたら24時間以内に)曝露後接種スケジュールでワクチンを接種する。
    状況により破傷風トキソイドや抗菌薬の投与も考慮する。
  3. 重度の場合は免疫グロブリン製剤投与
    皮膚を破る咬傷や、引っかき傷・傷がある皮膚を舐められた場合、またコウモリによる曝露、頭部に近い部位の咬傷の場合は、直ちに現地の医療機関を受診して下さい。

※渡航前にワクチン接種をしていても(曝露前接種)、咬傷を受けた際には再度ワクチン接種(曝露後接種)が必要です!!
※必ず帰国時に空港の検疫所に報告してください!!

海外渡航時の注意点

狂犬病は一部の国・地域を除きほぼ世界中に存在しており、年間約5万~6万人の死亡者が出ています。その多くがアジア・アフリカで、人の生活圏の周りの犬からの感染です。欧州や北米ではキツネ・アライグマ・コウモリなど野生動物からの感染、南米ではコウモリからの感染が多く報告されています。

有効な治療・救命法がない為、発症予防対策がキーポイントとなります。よって、動物に触れる機会の多い獣医関係者や、都市部の医療機関から遠く離れた地域に居住する人はもちろん、一般の渡航者や海外移住者も万が一の時に備えて事前に曝露前接種を推奨致します。

また、ヒトの狂犬病症例の半数以上が15歳以下の小児です。親に叱られることを懸念して、何かあっても報告せずにいることが原因とみられています。体が小さい為より重度の咬傷曝露となりやすく、噛まれたことを親に報告するように指導することも重要です。

狂犬病リスクのある国

参照:https://www.forth.go.jp/useful/infectious/name/name47.html

取り扱いワクチン

国内承認ワクチン
  • ラビピュール (グラクソ・スミスクライン株式会社)

※曝露後接種として使用。保険適応あり。

未承認ワクチン(輸入)
  • ChiroRab (CHIRON BEHRING社)
    Rabipur (Glaxo Smith Kline社)と同等製剤
  • Verorab (Sanofi Pasteur社)

ワクチン接種スケジュール

曝露前

ワクチン名 0日 1週間 2週間 3週間 4週間 6ヶ月 12ヶ月 追加の目安
未承認 ChiroRab 初回 2回目 3回目 2~3年後
未承認 Verorab 初回 2回目 3回目 2~3年後

曝露後

0日 3日後 7日後 14日後 21日後 28日後 30日後 90日後
4回接種法 初回×2か所 2回目 3回目
4回接種法 初回 2回目 3回目 4回目
5回接種法 初回 2回目 3回目 4回目 5回目
6回接種法 初回 2回目 3回目 4回目 5回目 6回目
曝露前接種あり 初回 2回目

お気軽にお問い合わせください。03-5456-6282診療時間 午前10時-14時 / 午後16時-19時[水・土休診]
※金曜は21時まで診療

仮予約フォーム 予防接種がスムーズにお受け頂けます。
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